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ブロックチェーンが社会を変える

ブロックチェーンが社会を変える
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ブロックチェーンは世界を変える-仮想通貨のその先へ

ブロックチェーンは、これまでの中央集権型のデータ管理から、分散型のデータ管理という新たな手法を提供しました。これは、「データは中央に集積されるべき」というIT業界のドグマを壊す発明でした。
インターネットが広がったことで、情報発信のイニシアティブがマスメディアから個人メディアへと移ったように、 ブロックチェーンもまた世の中を変えるほどの力を持つ発明と言えるでしょう。 ブロックチェーンを使いこなすことで、多くのビジネスチャンスが生まれるでしょう。

ブロックチェーンの特徴

では、ブロックチェーンは一体何が画期的なのでしょうか?
それは、それら取引の 「記録方法」 です。

  • ① 情報の共有で不正利用を防ぐ
    従来、情報を取引するにあたって、送信元は送信先という特定のサーバにのみ情報を渡していました。ブロックチェーンはこれを、ネットワーク内のサーバに対して送信し、情報がすべてのサーバに共有される仕組みを作り出しました。
    これにより、取引は公然の事実となり、 送信者の手元に残った情報のコピーが二重に不正利用される危険性がなくなりました。
  • ② 情報の引継ぎで改ざんを防ぐ
    ブロックチェーンは、一定時間の情報が一つのブロックにまとめられ、それが連鎖的に繋がっていくことで情報が記録されていきます。各ブロックには、前のブロックの情報のハッシュ値が含まれており、どの時点かの情報を改ざんするとそれ以降のブロックにも影響を及ぼすため、 構造的に改ざんを受け付けない仕組み となっています。
  • ③ 管理者不在の合意形成
    通常のシステムも分散型に構築することは可能ですが、ブロックチェーンはその仕組みを特定の誰かにコストを負担させることなく行っています。
    つまり、完全な管理者不在の多数ノード参加型システムです。管理者が不在であることによって、 誰かが恣意的にシステムを支配することはできず、 また多数のノードが参加し記録を共有していることによって、 完全なシステムダウンが起こりにくい という特徴があります。

しかし、管理者不在のシステムがどのように「正解」を保ちつつ運用されていくのでしょうか。これについて、ブロックチェーンでは「ナンス値」という値を用いて参加者が「正解」の認識を共有しています。
このナンス値は、ブロックが正しく繋がるようにハッシュ値を調整する値で、逆算することが不可能なので参加ノードが総当たりで計算していく必要があります。この計算には相当のマシンパワーを要するので、ナンス値を発見した参加者には報酬として、ビットコインが渡される仕組みになっています。この作業は、採掘作業になぞらえてマイニングと称されています。

こうして、 『「特定の誰か」に依存しない「分散型のネットワークですべての出来事を改ざんが困難な形で記録していく仕組み」』 が完成しているのです。

イーサリアムの登場

このように、非常に優れた仕組みを持つブロックチェーンですが、初期段階の主要なブロックチェーン実装は専らビットコインでした。それはブロックチェーンが「送金手段」としてFinTechに用いられる技術の代名詞となっていたからです。

これを大きく変えたのが「イーサリアム」の普及です。イーサリアムでは、これまでのビットコインで利点とされていた、改ざんの困難性や管理者を必要としない迅速な移転に加え「プログラミング機能」が追加されました。
具体的には、「ある取引が完了したら次の取引を起動する」「特定の条件が満たされたら取引を実行する」という機能です。この機能追加は、 ブロックチェーンの商取引や情報共有の基盤としての利用を可能にし、その活躍の可能性を大きく広げました。

ブロックチェーンの利用拡大

トレーサビリティ分野

トレーサビリティ分野で活かされているブロックチェーンの特性は主に2つです。
1つ目は、「非中央集権的なシステムの構築ができること」です。
トレーサビリティは、生産者から物流事業者、最後には消費者と多数のステークホルダーが情報共有に関わります。この場合、管理者を介しての情報のやり取りよりもブロックチェーンという仕組みを介して各々が直接システムにアクセスできる方が、手間やコストがかからず、情報操作の心配もありません。
2つ目は、「記録された情報が改ざん困難になること」です。
リアルタイムで正確な情報が命のトレーサビリティでは、物が「いつ、だれの手で、どこからどこへ移動したか、偽物にすり替わっていないか」など様々な情報を、随時改ざん不可能な状態で記録しなくてはなりません。この点、記録の仕組みにブロックチェーンを利用すれば、記録された情報が値として引き継がれて行くため途中での改ざんは高い確率で防止することができます。

トレーサビリティの実例

例えば、中国・上海に拠点を持つ「VeChain」は、欧州間との貿易において、 高級ブランドやワインなどの品物の真正性が求められる商品についてブロックチェーンでの管理を行っています。 市場に出回る段階で、商品に取り付けられたRFIDタグやQRコードを通じて物流をチェーン上に記録し、情報を共有しておくことで、消費者は手元の商品に貼られたコードを読み取るだけで記録されている商品の情報を参照することができます。
従来からあるIoT技術にブロックチェーンを融合させることで、さらに消費者の満足度を高めることに成功しているモデルです。

他にも、 米ウォルマートは生鮮食品の管理にブロックチェーン技術を採用し始めました。 ブロックチェーンが社会を変える これにより、処理方法や産地など生産情報の追跡にかかる時間は6日から2秒に短縮されたといいます。消費者からクレームが入った商品やリコールになった商品の追跡なども素早く行えることで、食品の廃棄量の大幅削減も期待されます。

権利関係の分野

アート市場

世界のアート市場で起きている不正による被害額は、年間60億ドルにも上り、そのうち80%が偽造品による被害です。美術品は時に億単位の値が付くものもありますが、このように「贋作」の問題は永遠のテーマと考えられていました。
しかし、この問題の解決に大きく役立つことが期待されるシステムとして、米発のVerisartが挙げられます。このシステムが管理するのは、個々の美術品の所有者や所在地、つまりはやり取りの記録になります。これを ブロックチェーン上に記録することで、今自分の手元にある美術品が、あるべきルートを通って渡ってきた本物なのかどうかを一目瞭然に判断することができます。 また、不正な譲渡や売買が行われていた場合にはその部分について記録が存在しないなど、万一の場合の捜査上で犯罪行為を発見する際にも利用することができます。

  • ① 音楽データの不正アップロード・不正利用などにより、得られるはずの収入が得られない
  • ② 配信サービスを担当する企業やレコード会社にマージンを支払わなくてはならない
  • ③ 印税の支払いまでに大きなタイムラグが生じる

2017年に配信された音楽コンテンツ販売プラットフォーム「Musicoin」は、このような問題をまとめて解決する仕組みを備えています。
Musicoin上に楽曲が提供されると、その先、楽曲を誰がダウンロードしたのか、またどのくらい視聴されているのかという情報がブロックチェーン上に記録されていくため、ミュージシャンはそれらの情報を一目で把握することができます。さらに、Musicoinには「ある条件を満たしたら次の取引を開始する」というスマートコントラクトが実装されており、一定回数以上の再生回数が記録されると視聴者が支払った視聴料は直接、「自動的に」ミュージシャンへと支払われます。この支払に関しては、支払先を複数人にして取り分の割合を設定しておくこともできるので、内部での紛争予防にも一役買っています。

こうして、 ミュージシャンは、ブロックチェーンのおかげで、自らのコンテンツの流通を自ら把握しつつ、リアルタイムで確実に利益を受け取ることができるのです。 また、オンライン上でアーティストとファンを直接繋ぐこのシステムは、新たな投資・決算ツールとしての側面も持ち合わせており、新しいアーティスト達の望みの場ともなっています。

ブロックチェーンビジネスの課題と今後

技術的な課題については2つ挙げられます。「スケーラビリティの問題」「相互運用性欠如の問題」です。

スケーラビリティの問題

そこで、検討されている有効な改善策が、 トランザクション承認を行う際のコンセンサスアルゴリズムの変更です。 現在イーサリアムで採用されているのは、「PoW(Power of Work)」といって、Workすなわち計算を最も早く完成させた人にトランザクションの承認権を与える仕組みですが、将来的にはこれを「PoS(Power of Stake)」
に切り替えようとしています。
PoSでは、計算の速さではなく通貨の保有量に依存して承認権が与えられるので、複雑な作業を経ることがない分承認までに要する時間を短縮することができます。
ただし、イーサリアムのアップデート計画では、この切り替えが完了、安定、さらに性能の向上と進展するには3~5年は要するという見通しであり、ブロックチェーン業界の拡大はこのアップデート完了が一つの目安となるでしょう。

相互運用性の欠如の問題

解決策の1つが、ブロックチェーン同士をつなぐ 「クロスチェーン」 という技術です。現状では、ブロックチェーン同士の安全な価値交換として、トークンのスワップをスマートコントラクトで行う仕組みが中心ですが、今後はデータの共有やスマートコントラクトの互換性にも対応するよう改良がなされる見込みです。
また、クロスチェーンに頼らない解決方法としては、業界特有のデータやツール開発について、企業連合を結成して行う方法が注目されています。例えば、自動車業界では「MOBI」という団体が結成され、業界特有の事項についてオープンソースで開発に取り組んでいます。このように業界特有のグループを結成する流れは、貿易業界やヘルスケア業界などにも広がりを見せており、ブロックチェーンビジネスにおいても参考となる点が多いと考えられます。

ブロックチェーンの今後

残された非技術的な問題

ブロックチェーンとビジネスチャンス

そのような中で今、企業が行うべきは、ブロックチェーンプロジェクトの急速な拡大に置いて行かれることのないようにすることです。
ブロックチェーンシステムは、一過性の流行ではありません。どのような業界にも介入できる「伸びしろ」を持っています。
各国の規制当局の動きは正確に把握しつつ、自社の属する業界において大きな変革をもたらすようなビジネスアイディアが生まれていないか、常にアンテナを張って見守るべきでしょう。

ブロックチェーンが社会や市場を変える ブロックチェーン技術におけるスマートコントラクトの概念とNFTの価値とは

ブロックチェーン技術を理解するうえで、その概念となるのが「スマートコントラクト」と呼ばれるものです。スマートコントラクトは、あらかじめ規定されたルールに従って行われるブロックチェーン上でのトランザクション(取引)や、外部情報をトリガーにして実行されるプログラムを指します。この"スマート"には自動的に実行されるという意味があり、スマートコントラクト=契約の自動化には、事前定義から決済に至るまで、一連の契約のスムーズな検証、執行、実行、交渉が狙いとしてあります。
提唱者のNick Szabo(ニック・スザボ)は、自動販売機を例に挙げて説明しております(図2)。自動販売機はスマートコントラクトの「契約の事前定義→条件入力→履行→決済」という一連の流れを全て自動化している点で分かりやすい例であり、これがいずれデジタルに制御されるさまざまな情報や資産に関わるプログラム実行への適用可能性があると示唆されていました。このスマートコントラクトのメリットとしては、仲介者(第三者)を介在しない「信頼性」や、取引の記録がブロックチェーン上で公開される「透明性」、手数料不要や手続きの時間短縮による「コスト削減」などが挙げられます。
ブロックチェーンとスマートコントラクトには、DAO(=Decentralized Autonomous Organization)という共通の思想があります。DAOは、中央の管理者をもたないネットワーク型組織のことで、個々に自立したネットワーク参加者が自由に振る舞う中で、組織全体としての判断や意思決定、実行が自動的になされていくような組織形態です。こうしたブロックチェーンとスマートコントラクトの切っても切れない関係を理解するうえで、DAOという思想への理解は外せないでしょう。

ブロックチェーンとNFT

デジタルデータは比較的コピーが容易な分野とされてきておりますが、ブロックチェーン技術を使って唯一無二な資産価値を付与し新たな売買市場を生み出そうと注目を浴びているのがNFTです。NFT(=Non-Fungible Token)は、ブロックチェーン上で鑑定書や所有証明書を記録し、固有の価値を持たせる非代替性のデジタルトークン(デジタル権利証)のことです。
このNFTは、こうした固有性や資産性を持たせることができれば、取引が可能になります。取引内容はブロックチェーン上で公開されるので、誰にでも検証が可能であり、安全性の高い取引ができます。また、NFTは共通規格で発行・流通するため、複数のプラットフォームをまたいだデジタルコンテンツの利用を技術的に可能とするため、相互運用性が担保されます。あと、NFTは先程取り上げたスマートコントラクトを用いて実装可能なため、取引数量を制限したり、時間の経過とともに価値を上下させたりといったさまざまな機能を追加できます。
NFTが一番身近に使われはじめているのが「デジタルアート」です(図3)。その名の通り、デジタルを使って作られた芸術作品ですが、ブロックチェーン技術によってデジタルアートの偽造不可能な所有証明書を発行できるようになりました。これにより、デジタルアートに資産価値を生み出せるようになり、そのアートの所有者は誰か、所有者歴なども全て記録・確認することができます。この技術のおかげで、偽造等の無い正規のものが、オンラインのマーケットプレイス上で取引できるようになりました。

■ブロックチェーンは、取引履歴を暗号技術によって過去から一本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持しようとする技術である。
■スマートコントラクトは、契約のスムーズな検証、執行、実行、交渉を意図したコンピュータプロトコル(規約・手順)である。
■NFTは、ブロックチェーン上で鑑定書や所有証明書を記録し、固有の価値を持たせる非代替性のデジタルトークン(デジタル権利証)である。

「社会を変えることをいったん諦めた」
社会起業家・林篤志氏が見出した“ポスト資本主義”への希望

2018年9月7日~17日にかけて、日本財団「SOCIAL INNOVATION FORUM」と、渋谷区で開催した複合カンファレンスイベント「DIVE DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA」が連携し、都市回遊型イベント「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA」が開催されました。今回は「ブロックチェーンで何が変わる?」と題し、Next Commons Labの林篤志氏、ICT4D.JP 代表の竹内知成氏、株式会社スマートバリューの深山周作氏が登壇。モデレーターに佐々木俊尚氏を迎えて、ブロックチェーンと社会課題をテーマにトークセッションが行われました。本パートでは、社会構造をアップデートするさまざまな取り組みや、貨幣がない時代に人間関係を繋いできた「負債」について語りました。

社会の課題とブロックチェーン

司会者:本日はご来場いただきまして、ありがとうございます。初めに、この分科会を進行していただく4名の登壇者をご紹介します。もしかするとTwitterなどでのお話の方がみなさんにとってはポピュラーかもしれませんが、本日モデレーターを務めていただくのが、作家・ジャーナリストの佐々木俊尚さんです。よろしくお願いします。

続きまして、Next Commons Labという団体の代表として、ポスト資本主義を掲げて全国各地の拠点で新しい共同体作りをされている、日本財団特別ソーシャルイノベーターの林篤志さんです。

続きまして、もともとIT企業やJICA(国際協力機構)で活躍され、現在はアビームコンサルティングに所属しながら、ICT4D(Information and Communication Technology for Development/途上国開発のための情報通信技術」)、ICTつまり情報通信技術をどう国際開発に活かしていくかをずっと研究されている、竹内知成さんです。

ブロックチェーンのすごさとは

司会者:蒸気機関やインターネットが世界を変えたように、ブロックチェーンも世界を変えます、と今言われています。それが本当かどうかはともかく、なにがそんなにすごいと言われているのか。技術的なことに踏み込み過ぎると、それだけで2時間が終わってしまいますので、だいぶ簡単にご説明します。

国家ではなく技術を信用する

司会者:最後に、データの不整合がないとありますが、要は取引履歴が最初からずーっと繋がっているので、不正をしたり、誰かが改竄しようとしても、不正のしようがない。まさにブロックチェーンという呼び方の通り、みんなが持っているデータが繋がっています。

ブロックチェーンで「価値」を移動させることが可能になる

司会者:具体的には、価値の可視化と交換が可能になることで、価値の移動が可能になる。例えばインターネットもすごい発明ですよね。世界中と繋がれるようになって、アフリカでもヨーロッパでも、ブラジルでもいいんですけど、Skypeなどを使えば簡単に電話会議ができます。

ブロックチェーンの3つの進化の段階

佐々木俊尚(以下、佐々木):はい、佐々木俊尚です。今の説明で、みなさんが果たしてわかったのかどうかわからないんですけれども。

林篤志氏(以下、林):林です、よろしくお願いします。15分くらいお時間いただいていますので、今やっていることをお話ししたいと思います。僕の場合は、地方創生という文脈もありますので、Next Commons Labというところで何をやっているかをお話しします。

2011年には、高知県の土佐山という人口1千人の村に移り住んで、村を丸ごと学校にするプロジェクトをやりました。そのあともけっこう地方でのプロジェクトをずっとやってきたという背景があります。その蓄積の中で今、Next Commons Labというプロジェクトをやっています。

10年間活動してきて「社会って変わらない」と実感

:(スライドを指して)1番目に、「ポスト資本主義社会を具現化する」と書いています。(今回のイベントは)ソーシャルイノベーションフォーラムですので、社会のあらゆる課題に対してどういうソリューションを作っていくかを議論していく場だと思います。

Next Commons Labを立ち上げたのは2016年ですが、もう社会を変えることをいったん諦めたんです。だって、僕の人生もみなさんのエネルギーも限られていますから。変わるか変わらないか(分からないもの)に対して(時間やエネルギーを)注ぎ続けることにどれぐらい意味があるんだろうと思ったんですね。

社会を変えられないなら、ゼロベースで作ればいい

:でも、変えられないのであれば、社会そのものを作れないかなと思います。既存の社会を変えるのではなく、我々がそれぞれ理想とする社会像がありますよね。それをゼロベースで、社会の構造そのものから作っていくアプローチはできないかと考えて、下の2つを否定するのではなく、それぞれが理想とする社会そのものをゼロベースで作っていく。

自立分散型社会を作ることを目指しているのが、Next Commons Labです。地方創生的な文脈で言うと、昔であれば日本中に小さな村社会が散らばっていたわけですね。みんなが同じように朝起きて、共同作業で田畑を耕す農村社会の時代があったんだけれど、それがどんどんなくなっている。農家の長男以外が出て行き、高度経済成長だと言って東京みたいな街ができたんですね。

そういう現状の中、新しい時代に合わせて新しい共同体を自分たちで作っていかなきゃいけない。その新しい共同体を、経済圏も伴ったかたちで作ることにチャレンジできないだろうか。これがNext Commons ブロックチェーンが社会を変える Labの根幹の部分です。

誰もが国家のようなものを作れる時代

:もっと踏み込んだ言い方をすれば、ある種、誰もが国家のようなものを作れる時代になってきたんじゃないかと思います。ブロックチェーンという技術が到来したことで、そういったことが可能になってきている。

Next Commons Labとしては、それを加速的に進めるための社会OS(オペレーティングシステム)を提供したいという、けっこう大きな話をしています。でも、そんな大きな話ばかりしていてもしょうがないので、ちょっとレベルダウンしました。日本の地方を舞台に、2020年までに100ヶ所拠点を作り、地域の資源を活かした独自の共同体を無数に生み出すことにチャレンジしています。

現時点では10ヶ所でやっています。北は青森の弘前、南は宮崎でやっているんですけれども、各地にNext Commons Labが立ち上がると、新しいシステムを作る起業家を全国からだいたい10名~15名選抜して、集団移住させるスキームをとっています。そして、地域資源を活かして、実際にソーシャルビジネスを立ち上げたり、スモールビジネスを作ったりしています。

円では交換しにくいものを通貨トークンで取引する

:今は(Next Commons Labは)10拠点あり、全国で29のプロジェクト、65名のネットワークになってきています。今年の後半には100名以上のメンバーになって、それからどんどん増えていくという活動をしています。

ここまでがいわゆる地方創生の文脈で、Next Commons Labが各地に広げながらやっていることです。そういった、ある種地道な動きを作りながら、どうやって冒頭で言ったようなポスト資本主義社会的な未来を作れるか。

資本主義は、お金持ちにさらにお金が集まる世界

:(スライドを指して)これは時系列で可視化しているんですけれども、こうやって見てみると、なんとなくハブになる人が出てくるわけですね。コミュニティの中核になっている人というか。

衣食住に関わるものをフリーで提供するインフラ作り

:そういうふうに、我々が人間として、自由に表現していける社会的共通インフラはなんなのかということを考えなきゃいけない。つまり、そういった自律的な経済圏であり、ある種の自治経済圏、国家のようなものを実験的に作っていこうということです。

例えば、SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)に特化したコインを発行する。ある海外の自治体に250万人いるんだけれども、ほとんどみんな排気ガスをばんばん出しながら原チャに乗っています。

そういった未来を進めていくために、日本の地方自治体と連携して地域の資源なども上手く活用しながら、チャレンジをしていこうと。ポスト資本主義社会を具現化しようとしているのが、Next Commons Labです。そんな感じでご説明を終わります。ありがとうございました。

佐々木:はい、ありがとうございます。

昔は「負債」が人間関係を維持していた

佐々木:のっけから濃い話でおもしろかったんですけれど、1つ例を挙げましょう。ロンドンスクール・オブ・エコノミクスの人類学の先生で、デイビッド・グレーバーという学者がいます。彼はしばらく前に、『負債論』という本を書きました。

:はい、その通りです。まとめていただいてありがとうございます(笑)。

国民国家や自治体の限界

佐々木:1つだけ聞きたいのが、ブロックチェーンのようなものを使って、そういう共感を一種の通貨的なものにしてお互いに交換し合う(とします)。共感だけで共同体は成立するんですか?

:たぶん成立しないと思っています。我々が生きていくためには、やっぱり多重層的なコミュニティに属していかなきゃいけない。要は共感ベースではなくて、そこでたぶん自治体や国家としての機能といった、既存のものはどう変わっていけるかという話だと思います。

佐々木:逆に言うと、そのベースになるインフラだけだと、共感がなければ繋がる要因がないということですよね。

:そうですね。だから、結局は国民国家や自治体という単位はもう無理なんですよね。要は『ALWAYS 三丁目の夕日』のときはよかったんです。なんかこう「こっちだー!」と行く感じでしたけど。

佐々木:みんなで1点に向かって進んでいくみたいな。

:この間おもしろかったのは、ある岩手県の高校で講演をした時です。250名の高校2年生に聞いたんです。「明日から2つの選択肢があります。1つは日本国民の国籍剥奪、もう1つはネットが一生使えない。どちらを選びますか?」と言ったら、245人が日本国籍はいらないという選択をした(笑)。

佐々木:なるほど。そこにどういう新しいレイヤーを被せるかということで、新しい経済圏、新しい通貨の話になると思います。

SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA

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お金の未来―ブロックチェーン革命が通貨の常識を変える―

お金の未来―ブロックチェーン革命が通貨の常識を変える―

吹き出し

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  • キーワードは仮想通貨とブロックチェーン
  • ブロックチェーン技術の活用方法とは?
  • 金融商品や不動産もすべてデータ化される

キーワードは仮想通貨とブロックチェーン

未来想像WEBマガジン

ビットコインやイーサリアムなど、2017年頃に人気が過熱した仮想通貨。欧米では、Virtual Currency、Crypto Currencyと呼ばれており、金融庁は暗号資産という呼び方を推奨しています。2017年当時は投機対象として認知され、実際の決済手段としては、あまり普及しなかった仮想通貨ですが、2020年代に入ると実用性が社会に認められ、再び息を吹き返すと朝倉さんは考えます。

未来想像WEBマガジン

ブロックチェーン技術の活用方法とは?

金融商品や不動産もすべてデータ化される

金融商品や不動産もすべてデータ化される

今から10年後、2030年の「お金」の未来像を朝倉さんはこう予想します。 ブロックチェーンが社会を変える
・商取引は完全にキャッシュレスになっていて、レジでお金を払う光景はもちろん、スマホを端末にかざす光景も見られない。
・金融商品や不動産など高額な商品もすべてデータ化され、ブロックチェーン技術によって安全性が保証された単一市場で取引されている。
・デジタル化された通貨は、国境を越えて世界中を駆け巡り、資産運用のファンドマネジャーはAIが務めている。
もはや想像するのも難しい世界・・・・・・。10年後には、お金が持つ意味も変わっていそうです。

お金とは何か? ブロックチェーンとは何か? 未来の社会でも通用する価値とは何か?今こそゆっくり考えてみる意味がありそうです。

<この人に聞きました>

未来想像WEBマガジン

モーニングスター株式会社 代表取締役社長
朝倉智也さん
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、95年米国イリノイ大学経営学修士号 (MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。98年モーニングスター株式会社設立に参画し、2004年より現職。 第三者投信評価機関の代表として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努めている。『30代からはじめる投資信託選びでいちばん知りたいこと』(ダイヤモンド社)、 『低迷相場でも負けない資産運用の新セオリー』(朝日新聞出版)、『お金の未来年表』(SB新書)など著書多数。

<ライタープロフィール>

丸茂 健一

丸茂 健一
編集者・ライター。1973年生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、旅行雑誌編集部勤務を経て、広告制作会社で教育系・企業系の媒体制作を手がける。2010年に独立し、株式会社ミニマルを設立。ビジネス全般、大学教育、海外旅行の取材が多い。

吹き出し

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社会的利益のためのブロックチェーンとは

スラムハウスの風景

慈善団体、非営利団体、および非政府組織(NGO)は、多くの場合、支援の意思があり、それが可能な企業ドナーに達する適切なテクノロジーがありません。 問題が、より最新のITインフラストラクチャーへの資金提供であれ、社内スキルの拡張であれ、あるいは、他のリソースの検索であれ、重要な接続が失われたり、まったく確立されない可能性があります。 さらに、企業のドナーが必要とする受託者責任と財務の可視性のレベルは、それらに対処する準備ができていなければ、組織を圧倒してしまう可能性があります。

ブロックチェーンが環境への影響を検証する

Newlight Technologiesは、温室効果ガスから高性能の消費財を生み出しています。 ブロックチェーンは、製品プロセスと環境への影響を追跡、監査、伝達できるようにします。

ブロックチェーンが人道的取り組みにどう役立つのか

真実の単一ビュー

変更不可能で改ざんが防止された記録

許可された参加

変化に向けた新しいモデルの作成

IBMの社会的利益に関する取り組みの歴史

IBM Science for Social Goodプログラムは、応用科学技術が科学的方法を通じて解決の速度とペースを加速することで、世界で最も困難な問題を解決できる、という前提に基づき構築されています。 2016年以来、このプログラムでは、IBM Researchの科学者とエンジニアが、学術フェローやさまざまな非政府組織(NGO)、公的機関、社会的企業からの対象分野の専門家とともに、科学技術を使用して新たな社会的課題に取り組んでいます。 これまでの結果としては、革新的なプロジェクト28件、パートナーシップ19件、特許出願中9件、などが挙げられます。

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