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ヘッジ会計の概要

ヘッジ会計の概要
ここまでの話を為替予約の会計処理に絞って、まとめると以下の図のようになります。

実務Q&AIFRSの一般ヘッジ会計

第1章 新しい一般ヘッジ会計基準の目的・発効日
Q1-1 ヘッジ取引の定義・種類
Q1-2 ヘッジ会計基準改訂の理由
Q1-3 日本におけるヘッジ会計への問題意識
Q1-4 主要な変更点
Q1-5 顧客へのリスク転嫁
Q1-6 ヘッジ会計の概要 ヘッジ会計の目的
Q1-7 リスク管理活動
Q1-8 ヘッジ取引とヘッジ会計の関係
Q1-9 ヘッジ関係の種類
Q1-10 ヘッジ会計の手順
Q1-11 適用開始日
Q1-12 IAS39からの移行
Q1-13 IAS39の継続適用
Q1-14 マクロヘッジ
Q1-15 当初適用日における会計処理

第2章ヘッジ手段の決定 ヘッジ会計の概要
Q2-1 適格ヘッジ手段
Q2-2 デリバティブ以外の金融商品
Q2-3 非金融商品
Q2-4 為替リスク
Q2-5 グループ間貨幣性項目
Q2-6 グループ間デリバティブ
Q2-7 組込デリバティブ(IFRS9)
Q2-8 売建オプション
Q2-9 金融商品の部分
Q2-10 リスク要素ごとのヘッジ指定 ヘッジ会計の概要
Q2-11 複数リスクのヘッジ
Q2-12 ロールオーバー
Q2-13 クロスヘッジ
Q2-14 株価指数先物
Q2-15 金利通貨スワップ
Q2-16 スワップション
Q2-17 クレジットデリバティブ
Q2-18 既存のデリバティブ

第3章ヘッジ対象の決定
Q3-1 適格ヘッジ対象概論
Q3-2 事業リスク
Q3-3 政策保有株式
Q3-4 内部取引
Q3-5 確定約定・予定取引
Q3-6 外貨建確定約定
Q3-7 ヘッジ対象非適格項目
Q3-8 グループヘッジ
Q3-9 グループヘッジ要件緩和の理由
Q3-10 株式グループ
Q3-11 純額となるグループの適格ヘッジ対象要件
Q3-12 純額ポジションのキャッシュフローヘッジの制限
Q3-13 純額ポジション(ヘッジ手段損益の表示)
Q3-14 純額ポジションのキャッシュフローヘッジの例
Q3-15 純額でゼロとなるポジション
Q3-16 プロキシーヘッジ
Q3-17 会計単位
Q3-18 1年超先の予定取引
Q3-19 合計エクスポージャーの要件
Q3-20 合計エクスポージャーの例
Q3-21 部分ヘッジ
Q3-22 非金融商品のリスク要素部分のヘッジ要件
Q3-23 非金融商品のリスク要素部分のヘッジ例
Q3-24 インフレリスク
Q3-25 片側リスク
Q3-26 階層部分ヘッジの要件
Q3-27 期限前償還オプション付住宅ローン
Q3-28 階層部分ヘッジの例
Q3-29 サブLIBOR問題

第4章 有効性評価と文書化(ヘッジ会計の適格要件)
Q4-1 ヘッジ会計適格要件
Q4-2 経済的関係の存在
Q4-3 清算機関
Q4-4 信用リスクの影響
Q4-5 有効性の意味
Q4-6 80%~125%要件削除の背景
Q4-7 80%~125%要件削除のイメージ
Q4-8 有効性判定方法
Q4-9 ヘッジ有効性テスト
Q4-10 ヘッジ有効性テストの基準間差異
Q4-11 ヘッジ会計の概要 有効性評価の時期・頻度
Q4-12 リスク管理戦略とリスク管理目的
Q4-13 文書化項目と実施時期
Q4-14 非有効部分測定方法
Q4-15 仮想デリバティブ
Q4-16 非有効部分発生原因分析
Q4-17 ヘッジ比率の決定
Q4-18 実際に使用されているヘッジ比率
Q4-19 ヘッジ比率濫用の懸念
Q4-20 ショートカット法 ヘッジ会計の概要
Q4-21 回帰分析
Q4-22 内部管理体制

第5章 リバランスによるヘッジ会計の継続
Q5-1 リバランス
Q5-2 リバランスのタイミング
Q5-3 リバランスの例
Q5-4 ヘッジ会計の中止
Q5-5 任意のヘッジ会計中止の禁止
Q5-6 ヘッジ中止の会計処理
Q5-7 ヘッジの再開始(リスタート)

第6章 帳簿上のヘッジ会計処理
Q6-1 公正価値ヘッジの会計処理
Q6-2 キャッシュフローヘッジの会計処理
Q6-3 キャッシュフローヘッジ剰余金のその後
Q6-4 キャッシュフローヘッジの表示
Q6-5 “低価”テスト
Q6-6 在外営業活動体に対する純投資のヘッジ
Q6-7 仕訳例
Q6-8 非有効部分の会計処理
Q6-9 リンク表示
Q6-10 キャッシュフローヘッジのベーシスアジャストメント
Q6-11 アンダーヘッジの場合
Q6-12 ヘッジのコスト
Q6-13 オプションの時間的価値
Q6-14 ゼロコストカラー
Q6-15 調整後の時間的価値
Q6-16 先渡契約の直先差額
Q6-17 調整後の金利要素
Q6-18 為替予約の直先差額(結論の背景)
Q6-19 通貨ベーシスプレッド
Q6-20 日本基準との差異
Q6-21 金利スワップの特例処理・為替予約の振当処理
Q6-22 組込デリバティブ(日本基準)

第7章 拡張された公正価値オプション
Q7-1 公正価値オプション
Q7-2 クレジットデリバティブ
Q7-3 自己使用契約の非金融商品

第8章 開 示
Q8-1 開示の趣旨
Q8-2 IFRS7のヘッジ開示要求概要

第9章 業種別の影響
Q9-1 改訂により見込まれる主要な実務的影響
Q9-2 商社・石油会社などへの影響
Q9-3 原油のヘッジ取引
Q9-4 エネルギー商品のヘッジ
Q9-5 LNG輸入取引のヘッジ
Q9-6 わが国の業種別会計基準(銀行業)の概要とIFRS9との違い
Q9-7 わが国の業種別会計基準(保険業)の概要とIFRS9との違い

参考1 一般ヘッジ規定に関する日本基準・米国基準・IFRS9の
主要な差異
参考2 IFRS9の一般ヘッジ規定の構造

著者プロフィール 金子 康則(かねこ やすのり)
公認会計士,米国公認会計士(ニューハンプシャー州)
1995年,青山監査法人PriceWaterhouse(現あらた監査法人PricewaterhouseCoopers)入所。
大手証券会社,大手自動車会社,大手都市銀行の米国基準に基づく会計監査,PricewaterhouseCoopers London Banking and Capital Markets勤務を経験。
2007年より金融機関に勤務し,会計方針,会計アドバイザリー,自己資本規制アドバイザリー,資本政策,財務オペレーショナルリスク管理など,会計および規制をキーワードにさまざまな業務に従事。
個人的にボランティアで日本公認会計士協会の委員会活動に参加する一方,金融機関の実務的観点から,制度会計の議論・会計リテラシー促進に向けて著作活動を行っている。

著書
『公正価値会計の実務』(2009年),
『オフバランス会計の実務』(2011年),
『公正価値測定の実務Q&A』(共著,2012年)(すべて中央経済社)がある。

【完全図解版】これで完璧. 為替予約の会計処理(1/3) ~ヘッジ会計の概要編

ヘッジ会計は特殊な会計処理です。 2) 金融商品会計に関する会計基準 29項
ヘッジ会計とは、ヘッジ取引のうち一定の要件を充たすもの(注11)について、ヘッジ対象に係る損益とヘッジ手段に係る損益を同一の会計期間に認識し、ヘッジの効果を会計に反映させるための特殊な会計処理をいう。
ヘッジ会計の適用要件 金融商品会計に関する会計基準 (ヘッジ会計の概要 注11)
ヘッジ取引についてヘッジ会計が適用されるためには、ヘッジ対象が相場変動等による損失の可能性にさらされており、ヘッジ対象とヘッジ手段とのそれぞれに生じる損益が互いに相殺されるか又はヘッジ手段によりヘッジ対象のキャッシュ・フローが固定されその変動が回避される関係になければならない。

3. 特殊な会計処理をする必要性

この場合、ヘッジ手段となるデリバティブ取引である為替予約取引は期末において金融商品に関する会計基準にしたがって時価評価しなければなりません。 3) 金融商品に関する会計基準 25項
デリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は、原則として、当期の損益として処理する。

この場合、ヘッジ手段から発生した為替差損益をヘッジ対象である外貨建仕入債務にかかる為替差損益が発生するまで繰延べます

こうすることで、両者の損益が同一の会計期間に認識されます。ポイントはヘッジ手段から発生した為替差損益を繰り延べることです。

ヘッジ取引の損益を繰り延べることで損益が対応することを説明しています

4. ヘッジ会計の方法にはどんなものがあるの?

そもそもヘッジ会計の種類は2つあり、「繰延ヘッジ」と「時価ヘッジ」です。

4-1. 繰延ヘッジとは?

その名の通り、繰延ヘッジはヘッジ手段にかかる損益(または評価差額)をヘッジ対象の損益が認識されるまで損益計算書を通さずに純資産の部にて「繰延ヘッジ損益」勘定を使って繰り延べる方法です。

繰延ヘッジを説明しています

4-2. 時価ヘッジとは?

時価ヘッジを説明しています

時価ヘッジとはヘッジ対象の資産または負債にかかる相場変動を損益に反映させることにより、その損益とヘッジ手段にかかる損益とを同一の会計期間に認識する方法です。 4) 金融商品会計基準第32項ただし書
「ヘッジ対象である資産又は負債に係 る相場変動等を損益に反映させることにより、その損益とヘッジ手段に係る損益とを同 一の会計期間に認識する

為替予約についてはこのヘッジ会計の繰延ヘッジ処理以外にも「当分の間、特例として」認められている処理があり、それが振当処理です(なお、そろそろ日本基準でも廃止されるかもしれません)。

この振当処理がヘッジ会計なのかというと、その定義を満たしてはいないような気がしますが、ヘッジ会計の要件を満たした場合にしか適用できず、かつ、特殊な会計処理なので、ここではヘッジ会計として扱います。 5) 外貨建取引等の会計処理に関する実務指針
為替予約等の会計処理 為替予約等に対するヘッジ会計の適用(一 1及び2 (1)並びに注解(注6))
3.金融商品会計基準により、デリバティブ取引である為替予約、通貨先物、通貨スワッ プ及び通貨オプション(以下「為替予約等」という。)は、原則として期末に時価評価を行い、評価差額は損益として処理することが求められている。しかし、外貨基準 一 1及び2 (1)では、外貨建金銭債権債務(外貨建取引に関連して発生したものを含 む。)と為替予約等との関係が、金融商品会計基準におけるヘッジ会計の要件を満たしている場合には、当該外貨建取引及び外貨建金銭債権債務等についてヘッジ会計を適用することができるとされている。また、注解(注6)では、ヘッジ会計を適用する場合には、金融商品会計基準におけるヘッジ会計によることが原則とされながらも、 当分の間、特例として振当処理によることができることとされている。ここで、振当処理とは、為替予約等により固定されたキャッシュ・フローの円貨額により外貨建金銭債権債務を換算し、直物為替相場による換算額との差額を、為替予約等の契約締結日から外貨建金銭債権債務の決済日までの期間にわたり配分する方法である。この特例としての振当処理の採用は、会計方針として決定する必要があり、また、ヘッジ会計の要件を満たす限り継続して適用しなければならない。 なお、金融商品会計基準による原則的処理の採用を決定した後で振当処理へ変更することは、原則的な処理方法から特例的に認められた処理方法への変更であり認められない。

為替予約の会計処理をまとめています

ここまでの話を為替予約の会計処理に絞って、まとめると以下の図のようになります。

変わる米国ヘッジ会計

米国財務会計基準審議会(FASB)は、2017年8 月、ヘッジ会計の改訂を公表しました。リスク管理活動と財務報告の整合性を高めることを目的とし、かつ、その複雑性及び煩雑性を減らすことにより、現行基準の問題点に対処することを意図した限定的な改訂です。限定的改訂というものの、キャッシュ・フロー・ヘッジや純投資ヘッジにおけるヘッジの非有効部分の認識が不要になるなど、現行の米国ヘッジ会計の処理とは異なります。また、IFRS第9号のヘッジ会計との差異が大きくなります。
本稿では、米国ヘッジ会計の改訂の概略を説明し、IFRSヘッジ会計との主な相違点を解説します。
本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りいたします。

  • ヘッジ会計とリスク管理活動をより整合させ、かつ、複雑性の低減を目指す限定的改訂であり、財務諸表作成者のコストや労力の削減につながることが期待される。
  • キャッシュ・フロー・ヘッジや純投資ヘッジではヘッジの非有効部分の認識が不要になる。有効部分と非有効部分の両方をその他の包括利益に計上し、ヘッジ対象の損益認識時点で、ヘッジ対象と同一の損益科目を使って純損益に認識する。
  • IFRS第9号のヘッジ会計との差異が大きくなる。

I.改訂の背景と影響

2017年8月28日、FASBはヘッジ会計の見直しプロジェクトを完了し、会計基準更新書(Accounting Standard Update, ASU)第2017-12号「ヘッジ活動に関する会計処理の限定的改善」 (以下「本ASU」という)を公表しました。新しいガイダンスは、企業のリスク管理活動の経済的実態をより適切に表すようヘッジ規定を改善し、また、複雑な現行のガイダンスの一部を簡素化しています。今回の改訂により、財務諸表作成者にとっては従来の会計処理の複雑性と実務上の負担が軽減され、コストや労力の削減につながることが、財務諸表利用者にとってはリスク管理活動に関する有用な情報が提供されることが期待されています。

II.改訂の概要 ~現行のヘッジ会計とはどのように異なるのか~

1.認識及び表示に関する変更

(1)非有効部分の概念の削除
ヘッジ関係に高い有効性があること ※1 はヘッジ会計の要件です。現行のヘッジ会計では、高い有効性がある場合でも、ヘッジ手段の評価差額をヘッジの有効部分と非有効部分とに区分します。有効部分はその他の包括利益に計上し、ヘッジ対象の損益認識時に純損益にリサイクルされ、非有効部分は発生時に純損益に計上されます。
本ASUは、ヘッジ関係の非有効部分という概念を削除し、高い有効性がある場合には、ヘッジ手段の公正価値変動全額にヘッジ会計を適用することを要求しています(815-20-35-1)。ヘッジ手段の公正価値変動全額はその他の包括利益に計上され、非有効部分はもはや損益に独立して認識されません。この結果、キャッシュ・フロー・ヘッジ及び純投資ヘッジにおいて損益認識のタイミングが変更されます(図表1参照)。一方、公正価値ヘッジに関しては、会計処理に変更はなく、ヘッジ対象リスクの変動に伴うヘッジ対象の公正価値変動は純損益で認識されるため、ヘッジ手段の公正価値との差分(ヘッジの非有効部分)は純損益に認識されます。但し、差分を非有効として開示することはもはや要求されません。

図表1 キャッシュ・フロー・ヘッジ及び純投資ヘッジの非有効部分の認識の変更

(2)損益計算書上の表示区分に関する規定
すべてのヘッジ取引について、ヘッジ手段の公正価値変動全額がヘッジ対象と同一の損益計算書表示科目に計上されます。また、現行のヘッジ会計及び本ASUでも、一部の状況において、(例えば、ヘッジ手段として用いたオプションのプレミアムのような)特定の金額をヘッジの有効性評価から除外することを認めていますが、本ASUはこの除外された部分もヘッジ対象と同一の損益計算書の表示科目に計上することを要求しています(815-20-45-1A)。

2.ヘッジ対象リスク構成要素に関する変更

(1)非金融ヘッジ対象のリスク構成要素
現行のヘッジ会計では、非金融項目の購入または販売に関連してキャッシュ・フロー・ヘッジ会計を適用する場合、ヘッジ対象リスクは、購入または販売のキャッシュ・フロー全体の変動性または為替リスクによる変動のみに限定されています。本ASUでは、非金融項目の購入または販売契約の契約上明示された要素をキャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ対象リスクとして指定することを認めています。これにより、企業は、現金支払額または受取額の構成要素の1つにのみ関連するキャッシュ・フローの変動性をヘッジ対象リスクとして指定することが可能となります(815-20-25-15(i)(3))。

(2)変動金利の金融商品のヘッジ
現行のヘッジ会計では、金利リスクのキャッシュ・フロー・ヘッジにおけるヘッジ対象リスクは明示されたベンチマーク金利でなければならないとされています。本ASUでは、キャッシュ・フロー・ヘッジにおいて、契約上明示されたいかなる変動金利もヘッジ対象リスクとして指定することを認めました(815-20-25-15(j)(2))。したがって、プライムレートに基づく変動利付ローンのヘッジ対象リスクとして、ベンチマーク金利ではないプライムレートを指定することができるようになります。

(3)固定金利の金融商品のヘッジ
現行のヘッジ会計では、公正価値ヘッジにおけるヘッジ指定可能な金利リスクをベンチマーク金利に限定し、米国におけるベンチマーク金利は米国債金利とLIBORスワップレート、OIS(Overnight Index Swap, 翌日物金利スワップ)のみとしています。本ASUでは、これに、証券産業及び金融市場協会市民スワップインデックス(Securities Industry ヘッジ会計の概要 and Financial Markets Association Municipal Swap Index : SIFMA)スワップレートを追加しました(815-20-25-6A)。 ※2

3.金利リスクの公正価値ヘッジに関するヘッジ対象の測定

(1)ベンチマーク金利部分のみのヘッジ指定
現行のヘッジ会計では、ヘッジ対象の公正価値変動は、契約上の金利全体から生じるキャッシュ・フローに基づいて測定されますが、本ASUは、契約上の金利キャッシュ・フローのうちベンチマーク金利部分のみに基づいてヘッジ対象の公正価値変動を測定することを認め、いずれかを選択できるようになりました(815-25-35-13)。

(2)残存期間の一部のみのヘッジ
本ASUは、企業がローンまたは債券の残存期間の一部分を金利リスクの公正価値ヘッジにおけるヘッジ対象として指定することを認め、この結果ヘッジ期間の最後の利払い日をヘッジ対象金融商品の満期とみなして、金利リスクの変動による公正価値の変動額を算定することが認められます(815-25-35-13B)。

(3)期限前返済可能金融資産のポートフォリオのヘッジ
期限前返済可能金融資産のポートフォリオの一部をヘッジする場合、期限前返済(または、キャッシュ・フローの時期及び金額に影響を及ぼすその他の事象)に影響を受けないと見込まれる金額をヘッジ対象として指定することが認められます(最下層アプローチ)。このアプローチを用いる場合、ヘッジ対象の公正価値は期限前返済が不可能であるかのように測定されます(815-20-25-12A)。

4.有効性評価に関する見直し

(1)有効性評価の方法
現行のヘッジ会計では、キャッシュ・フロー・ヘッジ及び純投資ヘッジにおいてはヘッジの非有効部分を分けて純損益に認識する必要があるため、完全に有効であるとみなされるヘッジ取引(ショートカット法及びクリティカル・ターム・マッチ法の要件を満たすヘッジ取引)以外は、定量分析が必要です。本ASUでは、事後の期間においてヘッジの有効性が高いという予測を企業が合理的に立証可能な限り、事後の有効性評価を定性的に行うことができるとしました(815-20-35-2A)。この場合、企業は定期的に事実及び状況が変化していないことを確認し文書化することが必要です(815-20-35-2C)。

(2)当初有効性評価のタイミング
現行のヘッジ会計では、ヘッジ指定と同時に、当初の定量的な有効性評価を実施しなければなりません。本ASUでは、ヘッジ指定の後の一定の期間内に、当初の定量的な有効性評価を実施することが認められます(815-20-25-3(b)(2)(iv)(02))。

(3)ショートカット法
ショートカット法をもはや適用できない状況と判断される場合には、過去に遡ってヘッジ会計を適用しないという修正再表示が、現行のヘッジ会計では要求されています。本ASUでは、あらかじめヘッジ文書にどのような定量的評価を行うかを明記していれば、ショートカット法がもはや適用できない状況においても、当初のヘッジ文書に記載されている定量評価方法に基づき、将来に向かっての評価と実績評価との双方において高い有効性が認められる場合には、ヘッジ関係の再指定を要求せずショートカット法から定量評価方法へ有効性評価方法を変更することを容認しています(815-20-25-117A)。

(4)クリティカル・ターム・マッチ法
クリティカル・ターム・マッチ法を適用する場合、現行のヘッジ会計ではすべての条件が完全に一致することが必要です。
本ASUでは、ヘッジ対象が予定取引である場合に、デリバティブの満期と予定取引の発生期日の差異が31日間以内または同月内である場合には、ヘッジ手段のデリバティブの期日は、ヘッジ対象の予定取引と同時期であるとみなすことができます(815-20-25-84A)。

(5)有効性評価から除外された項目の会計処理
オプションの時間的価値、フォワード契約の直先差額など、有効性評価から除外した部分の公正価値変動については、現行のヘッジ会計では、直ちに損益認識することが求められています。本ASUでは、(1)有効性評価から除外した部分の公正価値変動をその他の包括利益に計上し、期間にわたって一定の方法により償却するか、(2)直ちに損益認識するかのいずれかを選択することが認められるようになりました(815-20-25-83A、83B)。なお、通貨ベーシススプレッドが新たに除外項目に追加されました(815-20-25-82)。

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